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MiCSセミナー【トウモロコシ黒穂病菌における病原性エフェクタータンパク質の機能進化】

2019年3月22日

演者
田中 茂幸 (Max Planck Institute for Terrestrial Microbiology, Marburg, Germany)

日時
2019年3月22日(金)

植物病害の80%は糸状菌の感染が原因とされており、感染メカニズムの理解は植物保護のため重要である。トウモロコシ黒穂病菌は、宿主であるトウモロコシに感染し黒穂病を引き起こす活物寄生性の植物病原菌である。本菌ゲノム上には、機能未知の分泌タンパク質をコードする遺伝子が数多く存在する。これらはエフェクタータンパク質と呼ばれ、植物に感染し病気を引き起こす上で重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、エフェクタータンパク質がどの様な機能を持ち、またどの様な進化を経て現在の機能を獲得してきたのか、その知見は少ない。これまで我々は、トウモロコシ黒穂病菌において病原性エフェクターの同定や機能解析を進め1,2、最近ではトウモロコシ黒穂病菌の病原性エフェクターの一つは、進化の過程で菌の生活様式と関連して新規機能を獲得したことを明らかにした3。本セミナーでは、これまでの成果について紹介すると共に、未発表の成果を交えて、病原性エフェクターの進化についてお話ししたい。

1Brefort T, Tanaka S, Neidig N, Doehlemann G, Vincon V, Kahmann R.
Characterization of the largest effector gene cluster of Ustilago maydis.
PLoS Pathogens 2014 10(7):e1003866.

2Tanaka S, Brefort T, Neidig N, Djamei A, Kahnt J, Vermerris W, Koenig S, Feussner K, Feussner I, Kahmann R.
A secreted Ustilago maydis effector promotes virulence by targeting anthocyanin biosynthesis in maize.
eLife 2014 3:e01355.

3Tanaka S, Schweizer G, Rössel N, Fukada F, Thines M, Kahmann R.
Neofunctionalization of the secreted Tin2 effector in the fungal pathogen Ustilago maydis.
Nature Microbiology 2019 4(2):251-257.